神経障害性痛とは

挿絵

神経障害性痛は神経系の障害や機能異常などによって起きる症状で足腰、肩、首などの痛みやしびれを伴います。
肩、首、腰、足などの痛みが、いつまでたっても治らないけど、病院に行くほどではと思い我慢している人も多いのではないでしょうか?
検査しても異常が見つからず、長く続く痛みは、神経の異常が原因でおこる場合があるのです。神経がなんらかの理由で傷つき、痛みに対する感覚が過敏になっておこると考えられています。
日本国内には、少なくとも600万人の患者がいるのではないか、と考えられており、慢性的な痛みを感じている人の4人に1人が神経障害性痛の疑いがあると言われています。

見た目やレントゲン検査でも異常が見つからず、心身ともに原因がはっきりしない場合が多い痛みで、強いしびれ、電気が走る、焼けるように痛い、ビリっとくる、など様々な鋭い痛みがあります。

様々な神経の痛み

帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹の皮疹(水疱など)が消失し、帯状疱疹が治癒した後も続く痛みのことです。
帯状疱疹後神経痛の代表的な症状は、持続的に焼けるような痛みがある、一定の時間で刺すような痛みを繰り返すといったものです。他にも、ひりひり、チカチカ、ズキズキ、締め付けられる、電気が走る、と表現されるような痛みを感じることがあります。感覚が鈍くなる状態(感覚鈍麻)や、触れるだけで痛みを感じる状態(アロディニア)もよくみられます。
帯状疱疹が重症化した人や高齢者、免疫力が低下している人などは、帯状疱疹後神経痛に移行しやすいと言われています。

糖尿病性抹消神経障害

糖尿病になると、細い毛細血管がもろくなるなどのダメージを受けます。末梢神経に血液を運ぶ毛細血管が傷つくと、十分な酸素と栄養が運ばれなくなり、感覚や運動を司る神経と自律神経に悪い影響が及びます。
感覚神経が障害を受けると、手足の先に痛みやしびれといった症状が現れます。「ぴりぴり」「じんじん」といった痛みやしびれなどの症状を伴う人は約15%程度といわれていますが、自覚症状のない人も含めると30~40%にみられる頻度の高い合併症です。
糖尿病は、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、足先に「ぴりぴり」した痛みや「じんじん」としたしびれを感じて、初めて糖尿病とわかる場合もあります。そのまま放置すると足の感覚鈍麻から切り傷などにも気付かず、感染を伴って細胞壊死を招き、切断を余儀なくされることもあるため、早期の治療が必要です。

神経障害性痛の特徴

以下のような症状は、神経の痛みかもしれません。

痛みが長期間続く
強い針で刺したような痛みを感じる
電気が走るような痛みを感じる
感覚が鈍くなる、または無くなる
普段は何でもない程度の刺激に対して、強い痛みを感じる
しびれ感を伴う痛みを感じる
発作のように強い痛みが、短い間隔で襲ってくる
少しの痛みが、とてもひどい痛みに感じる

神経障害性痛の原因

ガンや糖尿病、帯状疱疹などの病気や外傷、手術などをきっかけに、神経がなんらかのダメージを受けてしまい、後々になって発症します。
傷や元となる病気は治ったのに痛みだけが残る、病気をきっかけに長く痛みが続くなど、何らかの原因で神経が障害されて痛みが生じていることがあります。
人が痛みを感じるときは、痛みを伝える神経伝達物質が放出され、脳に伝わって痛みを認識します。神経障害性痛は、この伝達物質がですぎる事で起こることがわかってきました。
代表的な神経障害疼痛には、帯状疱疹後神経痛、糖尿病、坐骨神経痛、脊椎管狭窄症などがあります。

「神経障害性痛」となる原因には、次のような場合があります。

脊柱管狭窄やヘルニアによって神経根が圧迫、障害された
糖尿病などの代謝障害によって、神経が障害された
ガンの腫瘍が神経に広がった 
化学療法の副作用によって、神経が障害された
事故やケガなどで神経が切断された/障害された
帯状疱疹ヘルペスやHIVなどのウイルスの感染によって、神経が障害された
ガンの腫瘍によって神経が圧迫された

関連項目